♯09
時の流れ

エフィと過ごした5年。
彼女の表情は変わったと思う。

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幼少期に全ての感情を奪われたエフィ。
「ワン」「クゥ〜ン」「キャン」仔犬の頃は当たり前の鳴き声。それがエフィには許されなかったのだ。嬉しい・寂しい・怖い すべて自分の中に押し込めなくてはいけなかった環境。
そんな中で彼女は感情を表現しなくなっていったのだろう…。
引き取った当初「陰気くさい顔」「無表情な犬」「さめた犬」と言われる事が多かったっけ。

その数ヶ月後には楽しそうな顔で遊んでいるエフィがいたなぁ。でも、眉間にはクッキリとシワがあって「泣き笑い顔」に見えた。当時のゆみごろうは、エフィってもともとこんな顔だったのかな? と深くは考えなかった。
この時期はお世辞でもエフィを可愛いと言って貰える事はなかった。

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そして、月日は流れ…例の事件が起きる。エフィの「おしっこ事件」。これを境にエフィのトラウマ治療を始める。そしてゆみごろうは初めて知った。眉間のシワは、虐待時のトラウマを引きずってしまったために、常に顔の筋肉が緊張して後天的にできた物だったのだ。
緊張していた筋肉は顔だけじゃなかった。全身の緊張を和らげるためのマッサージを始める。マッサージ初心者なゆみごろう。技術が足りない分は気持ちを込めて、エフィがリラックスできる様に祈りながら手を当てていた。
深く眉間にシワの入った顔は念入りにマッサージをした。マッサージをしてるとエフィが柔らかい表情になっていくのを感じた。あわせてメンタルな部分のフォローを丁寧に始めた。

時間はかかったけど…みるみる変わっていくエフィの表情…。
眉間のシワもとれ、穏やかになっていくエフィを見て涙が出た。どれくらい、ココロとカラダが締め付けられていたのか?
眉間のシワの深さはココロの傷の深さだったのかもしれない…。

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…この数年間、辛かったね。借家住まいの後ろめたさから「きちんとしなきゃ」って気持ちが強すぎたのは…エフィが気持ちを出せない一つの理由だったね。感情を出すと、わがまま言うと、怒られるのでは?って思っていたんだろう。自分を出さずに、大人しいイイ子でいてくれたんだね…。それを当たり前のように受け止めていたけれど、あなたには大きな負担だったんだなぁって…。
…緊張や恐怖心を押さえ込んでいた負担は、何回もカラダに 出てしまったもんね…。あなたの強さと優しさに甘えていたんだね…早くに気付いてあげれなくて ごめんなさい…。

やっと感情を出し始めた頃…嬉しかった。感情を出してもいいんだよって伝わったのが幸せだった。嬉しい時は笑っていいよ。悲しいときは泣いていいよ。辛いときはわがままも言っていいよ。

…まだ、慣れた人以外には感情を出すのがヘタなエフィ。人に対しての恐怖心を根深く植え付けられた事…ココロの片隅に残っているのだろう…。中には、そんなエフィを見て「表情が乏しい」とか「暗い顔」と思われる方もいるようです。そんな言葉を聞くとココロが痛みます。でも、でもね…今のように感情を出すようになるまで、エフィはいっぱい頑張ったんだと思う。
エフィをず〜っと見てきた私達はわかっているから… あなたがどれほど頑張っているか痛いほどわかっているから。。。
私達のペースで歩いていこうね …。

エフィを通して、それぞれのワンとパートナーにはそれぞれの形があって、人にはわかり得ない大切な部分があるのだろうと感じました。

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エフィ ありがとう。
あなたのココロから喜ぶ顔が見れて幸せだよ。
これからもず〜っと…隣で笑っていてね。。。
愛しい 愛しい エフィへ

6歳のお誕生日おめでとう!!!!!!


まだ引き取る前のエフィ。
ゆみごろうが会社を出る時は
こんな顔で見送っていた。


引き取った当初。不安そうな顔つき。


いっぱい遊んだ後に笑うのだけど、
眉間のシワはクッキリ・ハッキリ…。


お留守番の前になると泣き出しそう…。


大好きなお友達と一緒でも、
眉間の縦ジワが消える事はない。


5歳の誕生日を迎えた時。
トラウマも眉間のシワも消えた。


眉間のシワがないと「つるん♪」とした
顔になる。(画像修正はありません〜)

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