♯03
泣く馬

オスカーがゆみごろうの前からいなくなり、心にポッカリと穴が空いたように過ごす日々。乗馬クラブへ足を運ぶ回数も減ってしまった。

そんな中ゆみごろうを慰めるのは年老いたガロだった。クラブの中では気難しいと恐れられていたが、なぜかゆみごろうには懐いていたのだ。

お腹の下を通ろうが、馬着(冬場に着せるコートみたいなもの)を着せる時も平然としていた。そして、どの馬よりも乗りやすかった。ゆみごろうは特別な事がないかぎりはガロに乗せて貰った。

しかし乗馬クラブのあらゆる所を見てはオスカーを思い出す。
「この乗馬クラブを去ろう」と心に決めた。そしてこの乗馬クラブ最後の日。 もちろん乗せて貰う馬はガロだった。
いっぱいいっぱいガロと話ながら乗った。この子の駆け足は大好きだ。とても気持ち良く走れる。
最後の手入れの時もず〜っと話しかけた。「ガロ君、今日で最後なんだ。今までありがとぉ…ずっとず〜っと元気でいてね。」そう言ってガロの脚を拭いていると…。ポタ…ポタンと水滴が落ちる。見上げるとガロが泣いている……。涙をポロポロこぼしている。(馬が涙を流すなんて…)「ガロ君、大好きだよ。ありがとね。」と貰い泣きをしながらガロの涙を拭いた。

最後だって事、ガロには分かっていたらしい。オスカーもそうだった。この馬達は別れを感じ取っていた。そして自分達なりにお別れをしてくれた。ゆみごろうは、こんな馬達に逢えた事を誇りに思う。そして、馬のリハビリ牧場を営む先生に言われた。「馬の涙を見る事ができたあなたは幸せな人ですね。」と…。

現在、ドクターストップにより乗馬はできなくなりました。でも馬達と過ごした日々はゆみごろうの中でとても素敵な時間でした。とても優しい心をもった馬という動物に感謝しています。


最後に乗った時…
人馬一体となれる子でした


お手入れ中のガロ君&ゆみごろう
ガロ君もゆみごろうも
嬉しい顔してます…

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